2004年 5月 30日

マーケティングは心理学だ!

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超心理マーケティング!―デフレ時代の逆風でも必ず勝てる モノが売れない時代に勝つ!
鈴木 博毅 (著)
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商品を売りたい。もし、そう考えたとき、最も重要なことは何か?

商品力?値段?立地?広告?アフターフォロー?

まあ、これに関しては、人それぞれ、違う考えがあるだろう。ただ、私は最近、密かにこう思う。もっとも重要なことは「心理学」ではないか、と。

ご存知のように、今、日本はとーっても不況だ。リストラ、倒産、失業率の増加、年間3万人を超える自殺者、と新聞・テレビからは暗くなる話ばかりが聞こえてくる。おそらく多くの人が、先の見えない不透明な状況の中で、なんだか悶々とした閉塞感を感じているんじゃあないだろうか?。(ま、最近でこそ、少しだけ株価が上がったり、デジタル家電が売れたりして、良くなりつつあるみたいだけど。)

こんな状況のなか、お店や企業は思いっきり売上不振に陥っている。いや、むしろ売上が下がるぐらいならまだましな方で、倒産する企業も珍しくない状況となっている。かなり多くの企業が売れない・儲からないという平成不況の中で必死にもがいている、といっても過言ではないだろう。それぐらい今の状況は、企業にとって苦しい環境であるといってもいい。


「いったいどうしてこんなに売れない状況が出来てしまったか?」
こんな質問をすれば、きっと多くの方は次のように答える方が多いのではないだろうか?

いわく、
「デフレで、商品の値段が上がらないために、みんなが買い急がなくなったことが、モノが売れない原因だ。」
「小売店の数が多すぎて、競争がますます激化しているから、売上が伸び悩んでいるのだ。」
「中国の台頭で、日本の競争力が失われたことが今の不況の原因だ。」
「日本政府や地方公共団体が700兆近い借金を背負って公共事業ができなくなってきたからだ。」

まあ、人それぞれ言うことはバラバラですが、だいたいこういったことが理由にあがってくるだろう。もちろん、こういったことが現在の不況の原因を形作っている一因であることは確かなので、何も考えずに聞いていれば、思わず納得はしてしまいます。

しかし!

本当のところ、多くの企業が売上を伸ばせない最も大きな理由はこういったものとはもっともっと別の部分にあるのではないだろうか?みんながうすうす気が付きながらも、手を打てないでいる理由が。そのために多くのお店や企業が「売れない・儲からない」といっているといってもいいと思うのだが・・。

では、いったいその理由は何かといえば、ズバリ、それは・・


それは・・・


「みんなが物を欲しいと思わなくなったこと。」

そう。こんなシンプルで当たり前のことこそが、実は今、多くの企業の売上が伸び悩んでいる最も大きな原因であるような気がする。


何でも、いま、アンケートを実施して、「あなたは今欲しいものがありますか?」という質問をすると、「特にない。」という答えがぶっちぎりで一番になるんだそうだ。しかも、それに続いて、「癒し」だの、「愛」だの、「時間」だの、「生きがい」だのと、形のないものばかりが上位にあがってくるんだそうで、要するに、現代日本人の多くは、あまり強い物欲を持っていないということを示しているわけ。

一方で、同じ質問を経済発展著しい中国人の方たちにすると、「携帯電話」「マンション」「大型ディスプレイテレビ」などとモノの名前が次々に挙がるらしい。つまり、高度経済成長期の日本人が「車」や「クーラー」などを欲しいと答えていたようように、彼らはいま物欲を満たすことが幸せになっているわけだね。

当然、この「気持ち」の部分でこれだけ差があっては、今の日本でお店の売上が下がるのも仕方がないことだといえるだろう。つまり、多くの人が「欲しい」という感情を持っていないのだから、モノが売れないのも当然なのだ。

だから、本気で「売上を増やしたい」と思っていたり、「商品を販売したい」と思っているのならば、まずはお客さんとなる人に「欲しい」という感情を持ってもらえるような工夫が必要になるのではないだろうか?相手が「欲しい」「手に入れたい」という感情を持ってはじめて、売り手は商品の販売といったことにつなげることができるのだ、と思う。

イトーヨーカ堂の経営者、鈴木敏文氏は「現代の商売に必要なのは経済学ではなく、心理学だ!」といっています。消費税が5%に上がったとき、イトーヨーカ堂はすかさず、「消費税還元セール」を行って大成功を収めたが、これは、消費税が上がってみんなの気分が盛り下がっていた時期にタイミングよく行われたことが、多くの人の気分を盛り上げて消費につながった典型的な例であり、まさに心理学の世界だ。

100円ショップのダイソー。不況の中で売上絶好調の企業。マスメディアでは一個100円という価格がデフレ経済下にマッチしたために成功した、といわれていることが多いが、ここの社長さんは「あくまでウチが成功したのは、価格ではなく『主婦のゲームセンター』といわれるように『選ぶ楽しみ』をできるだけ提供しつづけたことにある」といった趣旨の発言をしており、ここでも重要なのは「選ぶ楽しみ」という心の部分に着目した戦略の存在だといっていい。

関東で有名なディスカウントストア「ドンキホーテ」。ここも深夜時間帯のマーケットを開拓したことが成功の要因などと語られることが多いのですが、実際には圧縮陳列と呼ばれる商品の見せ方や、現場に大幅な権限委譲をすることで実現した「感性」重視の品揃えが本当の成功の要因だったことはよく知られている。

そのほか、本屋に行けば、
神田 昌典「エモーショナル・マーケティング」
小阪 裕司「ワクワク系マーケティング」
藤村 正宏「エクスペリエンス・マーケティング」
といった具合に、いろいろなマーケティング方法を説明する本が売っているが、どれも結局のところ、「人の心」にどうすれば訴えられるのか?という話について、解説している。

そう!つまり、「心理学」「人の心」に着目した上で、戦略を立てることは現在、そして将来において、やっぱり殊のほか重要であるのだ!


今後、インターネットで商品を販売するのであれ、実際のお店で商品を販売したりサービスを提供するのであれ、戦略構築の段階で「人の心」の部分を考慮に入れていなければ、間違いなくコストだけはかかったけれど成果にはつながらないなんてことになるだろう。逆に、人の心をどうやれば捉えられるのか、をよく考えた上で、仕組みを作っておけば、かなり楽になることは間違いないだろう。

ならば、「心理学」を多少なりとも勉強して、マーケティング活動に生かしてみることが重要なのではないだろうか?そして、心理学を使ったマーケティング、人の心に訴えかけるマーケティング、そう、「心理学マーケティング」を学ぶことがその第一歩になるのではないだろうか?


ふとそんなことを思ったりする今日この頃です。



(今日の一言。というか1シーン)
「みーんな、プーマのスポーツシューズ買ってもらってるんだから。」
「みんなってだれェ?」
「かこちゃんだべ、めぐちゃんだべ。それからやっちゃんにのんちゃん。」
「ほーれ、たった4人でねぇーかぁ。」

                         by   おもいでぽろぽろ

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