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職場活性法その20.「経営を教える」

いかに職場の人間関係を良くしようと努力しても、業績が悪ければ職場の雰囲気はまた悪くなっていきます。逆に、そんなに職場の雰囲気が良くなくても、結果が伴えば、それなりに回っていきます。


業績を向上させること。一人一人が結果を出していくこと。こういったことは、経営上も、職場活性化のためにも必要不可欠な要素だといえると思います。


もちろん、そのためには、商品力とか、売り方を工夫するということが重要でしょう。ただ、その前に、もっと基本的なことである「経営を教える」ということを行ってみたほうが良いかもしれません。


この「経営を教える」という方法は予想以上に、実は職場状況の改善などに大きな効果があがる方法なのだということです。


通常、職場で働いている人のうち、経営書を読み漁って常に「経営」を勉強している、という人や、本屋に行けばまずはビジネス書やビジネス雑誌のコーナーに直行する、という人はそんなにいないでしょう。30人に1人もいればマシな方だといえると思います。


そのため、多くの人は、自分が担当している目先の業務をこなしたり、指示されたことだけを行うことは出来ても、全体的な視野を持って行動したり、より状況に適した方法を自ら見つけ出してどんどんと実践する・・・ということはなかなか出来ないことが多いようです。


また、「自分が働いている会社の売上が去年いくらあったのか」「利益がいくらあったのか」ということを知っている・・・という人も意外といません。こういう人は、無駄な経費を使ったり、仕事をダラダラと行って引き伸ばしても、ぜんぜん気にならない、ということが決して少なくないようです。


こういう状況では、今のやり方が現状に即していない・間違っているとわかっていても、今までのやり方をただ惰性で続けてしまったり、赤字なのに危機感が全くなかったり、自分のやり方に固執して、いつまでたっても業績が向上しないという状態が続いてしまう・・・ということが少なくないないようです。


また、成果が出ない理由は他の部門が悪いのだ、と部門間で責任のなすりつけ合いを始めるということが頻発し、状況がいつまでたっても良くならず、どんどん雰囲気が悪化していくということも珍しくないようです。


こうならないようにするためには、より一人一人が、全体的視野・経営者的な観点から物事を判断できるようにしたり、当事者意識を持って物事に取り組むようにする必要があります。そのためには、多くの人がより経営者的な視点・全体的な視野を持てるように、「経営を教える」と方法が効果的であるということです。


・・・別に「経営を教える」といって、いきなりMBAで教えているような高度なことを教える必要はありません。


それこそ、最初は「今、会社の売上はこれぐらいあって、人件費などの費用は月これぐらいかかっているので、利益を出すためにはこれぐらいの目標を達成する必要がある。」という、極めて基本的なところから教え始めるので良いと思います。


また「Aの広告とBの広告、より大きな集客を見込めるのはどちらの広告か?」ということを考えさせるのでも良いかもしれません。


今、多くの職場ではこういったきわめて基本的なことすら教えられず、日々の仕事に追われている人の方が多いのが現状です。これでは全体的視野を持て、と言っても無理。


とにかく1日15分~30分でもいいから、アルバイト社員まで含めて、「経営」を教えるようにしましょう。


すると、たったこれだけのことでも、しばらくすると社員が自発的に動き出したり、全体的な視野を持ちながら今何をすべきかを理解して行動するようになったりして、今までよりも大きな成果をあげるようになることが多い、ということです。


実際、ある衣料品チェーンでは、優秀な店員を新店舗の店長に抜擢する人事をおこなっていたのですが、なぜかある店舗ばかりから次々に優秀な店長候補が生まれるので不思議に思って調べてみたら、そこの店長がその店の店員に簡単な経営学を毎日20分程度、朝礼のついでに教えていたことが原因であることが判明したそうです。


些細なことの積み重ねが、実は意外と大きな結果を生む例といってよいかもしれません。


大企業の中には、将来の幹部候補生を集めて経営学などの講習をみっちり行う企業もあります。が、ほとんどの企業では、「社員は自分の担当する業務のことだけ覚えておけば良い。経営を社員に教える必要なんかない」という姿勢であることが少なくありません。


こういうことをしていると、経営者が事故や病気などで動けなくなると、たちまち会社が機能しなくなって倒産の危機に陥ったりします。また、そこまでいかなくても、経営者的な視点がない人は、他の人が困っていようが自分の担当している業務だけをこなせばよい、と考えて他人を助けるのを嫌がったり、狭い視野で物事を進めて袋小路に入り込んだりする事が少なくありません。


「経営を一日20分でもいいから教えるようにする」なんて面倒くさいし、あまり役に立たないように見えるかもしれません。でも、実際、多くの企業で簡単でもいいから経営を少しずつでも教えているところの方が、現場の作業効率がよくなったり、業績が上がったりすることが確認されています。


こんなことでも、他に大きな差をつけることができるのだから、毎日少しだけでも時間をとって、やった方が良いといえるでしょう。


職場で働く人たちがより前向きに物事に取り組むようになったり、部下や後輩が、いちいち細かく指示したり、怒鳴り散らしたりしなくても、自発的に行動し始めて、しかも、しっかり結果を出せるようになる効果が期待できる、この「経営を教える」という方法。


とにかく騙されたと思って始めてみてください。最初は多少面倒でも、しばらくすると思っている以上に効果が現れてビックリすると思います。


(しかも、人に教えるためには自分自身がそのことを理解している必要があるだけに、自分自身のレベルアップにもなったり、忘れていたことを思い出す効果もあって、非常に有効です。)