★「この株を買うと、1000万円儲かります。」
「この株を買って、1000万円儲けた人がいます。」
★このような2つの言葉を言われた場合。さて、あなたなら、どちらの言葉を言わ
れたとき、より強く反応してしまうでしょうか?
★前者?後者?
★おそらく、かなり多くの人が「後者」の方を選ぶのではないかと思います。
★その通り。実は、こういう二つの選択肢を与えられた場合、たいていの場合、
人は後者の情報に反応することが多いのだそうです。
★いったい何故でしょうか!?
★「これで儲かる!」なんていわれても、なんか怪しいから、前者の情報に反応
する人は少ないのでしょうか?
★それとも、「これで儲かる」という情報は未来の不確定な情報だけど、「これで
儲けた」という話は過去に実際にあった話だから、後者の情報の方に反応する人
が多いのでしょうか?
★もちろん、そういった理由も当然あるでしょう。が、しかし、実は後者を選ぶ人
が多いのは、「人は自分が損する状態にあることに耐えられない」から・・・
というのが、本当は最も大きな理由なのだそうです。
★人は意外と自分に「得になる情報」には寛容だといわれています。それは、
その得になる情報を無視したところで、今の自分が否定されるわけでも、
マイナスになるわけでもないから、そうなるのだそうです。
★ところが、「自分が損している」という情報は、自分の状態をマイナスにして
しまうため無視することが出来ないのです。人は、「損する」「損している」
状態を非常に嫌う性質をもっているので、それを避けようします。その結果、
「得する情報」よりも、「損している」という情報により耳を傾けてしまうの
だそうです。
★最初の「この株を買って、1000万円儲けた人がいます。」という情報は、
「他の人が儲けている」→「自分も儲けるチャンスがあったのに、失った。」
→「自分は損した」につながります。だから、多くの人が「この株を買えば、
1000万円儲かります。」という情報よりも反応を示すことが多いのだ
そうです。
★また、「知って得する節約情報」と「知らないと損する節約情報」という
キャッチコピーの広告を出すと、後者のほうが断然反応が高くなる傾向
があるのだそうですが、実はそれも、こういう人間の心理が反映された
結果だといえるでしょう。
★そして、ケーキを何人かで分けるとき、ほんの少しだけ隣の人のケーキが
大きいと、なんだかものすごく損したような、腹立たしいような気分に
なるのも、こういった心理が関係しているのかもしれません。
★人は「得する」といわれた時よりも、「損している」と言われたときの方がより
強く反応する。
★こういうことも、いわれてみればそうなのかもしれないけれど、普段は、あまり
気がつかない事実かもしれませんね。
★でも、セールストークや広告文を考えるとき、商談をするときなどに、これを
知っているのと知らないのでは、かなり差がついてしまうこともあるわけで・・・。
★こんな心理も、確実に心に留めておくと、また、何かの役にたつかもしれませんね。
(追記)
★ただし、人は強い否定・強いマイナス情報は無視してしまうのだそうです。
★例えば、「あなたは今までこんな損していた!」という情報と、「あなたは
今まで、こんなに大きな間違いを犯していた!」「あなたはいままで、こんなに
大損していた!」という情報とを比べると、後者の方がより強い反応がありそう
なものです。
でも、現実はそうはならないのだそうです。
★というのも、あまりに強い否定語や恐怖を感じさせる言葉は、それを見なかった
(または聞かなかった)ことにすることで、人が自分の心のバランスを保とう
とするから、そういうことが起こるのだそうです。だから、強い否定を伴った
情報は、反応が小さくなってしまうわけですね。
★人は得する情報よりも、損しているといわれることに反応しやすい。
でも、大きく損しているといわれると、無視してしまう。
★これもまた、覚えておく必要があるかもしれませんね。