ドンキ・ホーテの放火事件に見る心理学

★ドンキ・ホーテが放火された事件において、なぜか被害者であるはずのドンキ・ホーテの方が報道機関などから激しくバッシングを受けていました。

★「圧縮陳列」や「迷路のような店内」のせいで被害者が出たのだ!と各報道機関がドンキホーテ側が悪いという趣旨の報道を繰り返していたのを皆さんご存知だと思います。

★しかし、お客さんの方には被害者が一人も出ず、店内を熟知していたはずの従業員ばかりが犠牲になっていた状況から考えると、こういったジャングルのような店内が、被害を拡大した主要な原因ではないことは明らかなはず。

★でも、そういった見解は報道されることはないまま、ドンキホーテの方ばかりが批判されました。
 

★さて、ここで質問です。あなたは、いったいどうしてドンキ・ホーテがかくも激しくバッシングされたのか、その理由がわかりますか?
 
 
★実は、この被害者側が批判されてしまうという現象。心理学的には、十分に解説可能な現象のだそうです。
 

 
★普段、多くの人は、真面目に生きていれば報われるはずだ、と考えています。すくなくとも、何もしていないのにいきなり不幸な目に逢うはずがない、と考えて生きています。

★そのため、人は想定外の事態が発生したとき、そこに「何らかの理由」がないことには心のバランスを保てなくなってしまうのだそうです。

★例えば、日常生活を送っているの時に、いきなり家族が事件に巻き込まれて殺されてしまい、その後、犯人が「殺したことに、特に理由はなかった」といったとしても、それをそのまま受け容れたのでは、心のバランスを保てなくなってしまいますよね?

★「いったいどうして私の家族が?」「何も悪いことしてないのに、どうしてこんな目にあうのだ!」という気持ちを紛らわせるためにも、人はそこに何らかの理由があったことにしたいのだそうです。
 
 
★そのような性質があるため、人は何かの事件がおきたときも、必ず「なんらのかの理由」があって事件が起きたのだ、と考え、心のバランスを保とうとするのだそうです。

★その理由が当っているかどうかは実はどうでも良くて、「何らかの理由」があって事件が起きたのだ、と考えること自体が心のバランスを維持するために役に立つので、人は「何らかの理由」あって事件がおきたのだ、と考えてしまうのだそうです。
 
 
★今回のドンキホーテのような事件の場合、犯人はすぐには見つかりませんでした。また、見つかったしても、なぜ犯人がそんなことをしたのか?という理由はすぐにはわからなかったでしょう。でも、犠牲者が出たという事実は存在しています。

★こういう場合、人は心のバランスを保つために、「被害者の方に何か問題があったから、事件がおきたのだ」と考えることで、なんとか心のバランスを保とうとするのだそうです。

★その結果、目に見えやすい特徴である「圧縮陳列」や「迷路のような店内」に批判が集中してしまった可能性が高い、ということです。
 
 
★言われてみると確かにそんな気がする話です。

★しかし、人の心理というものはなかなか難しい、と改めて思う話であります。