値段の心理学

★値段をいくらにするかによって、売上が変わってくる。
 
★これは誰もが知っている事実です。
 
★そこで、世の中ではひたすら値下げ競争をしてみたり、と日々値段を様々にコントロールすることで少しでも売上を伸ばそうと、多くの業者がしのぎを削っています。
 
★しかし、だからといって、ただ値下げするだけが能ではないのです。逆に値上げをすることで高級感を演出することも出来れば、5人に1人がタダというギャンブル性を持たせた方法で売上を伸ばす人もいたりするわけです。

★「値段の心理学」は様々。今回は、そんな「値段」にまつわる心理学をいくつか見ていくことにしましょう。
 
 
心理的財布

.「演劇を観るために1万円のチケットを買いました。ところが、いざ劇場に到着すると、途中でそのチケットを落としてしまったことに気がつきました。さて、あなたはもう一度、チケットを買いなおしますか?それとも観るのをやめますか」

.「演劇を観るために1万円のチケットを買って劇場に向かいました。ところが、途中で1万円を落としてしまったことに気がつきました。さて、あなたは演劇を観るのをやめてチケットを換金することにしますか。それとも、やっぱり観ますか?」

★こう質問をされたとき、Aの質問では「NO」と答える人が多いそうです。
ところが、Bの質問では「見る」と答える人がかなり多くなるということです。

★どちらも1万円を失ったことに違いはありません。でも、Aの場合には、同じものに再度お金を払うことになるために、抵抗を感じてしまうが多くなるので、「NO」と答える人が多いとのことです。

★このように、人はその時々によって、お金を払う・払わないを決断する「心理的な財布」を持っていると言われています。
 

★普段はせっせと節約に励んでいる人も、旅先ではお土産を買ったりすることに多額のお金を使っても気にならないのも、この「心理的財布」による判断が大きく影響しているのだそうです。

★「先月は頑張ったから、自分へのご褒美に今月はちょっと贅沢しよう。」
「今月はちょっと本をたくさん買いすぎたから、来月は本を買うのを少し控えよう。」
といった具合に、人は常に「心理的財布」を使って物事を判断したり、バランスをとったりしていると言われています。

★ということは、もし、あなたが少しでも売上を上げたいと思ったら、お客さんの「心理的財布」の口が大きく開いているのはいつなのかを把握することが重要だといえるわけです。

★また、自分の商品やサービスを買うことが心理的なバランスをとることにつながるのに役に立つのだ!ということを、上手くアピールすることも重要になるかもしれません。

★人は心理的財布を持っている。これは、言われて見ると当たり前のことですが、言われないとついつい忘れがちなことなので、しっかり覚えておく必要があるといえるでしょう。
 
 
心理的ものさし

★人は心理的なモノサシを持っているといわれています。

★「この商品はあの商品と比べるとお得だ」とか、「あの店のサービスにこんなに払わさせられるなんて納得できない」といった判断をするのに、人はこの心理的なモノサシを使って判断をしてることが多いようです。心理的財布と同様に、物事を判断するとき人は、この心理的モノサシをよく使っているといわれています。

★ところが、この心理的モノサシは、時と場合によって、伸びたり縮んだりする、結構いい加減なものようです。そのため、よく誤りを犯すことがあります。

★例えば、4500円が4700円に値上がりした時。多くの人はその200円の差をあまり気にしませんが、9800円と1万円だったら、同じ200円の値上がりでもものすごく大きな変化として測ってしまいます。

★10円、20円安く商品が売っているから、といって普段とは別のスーパーに行く人も、家を買うときに、4000万円の家なら買うが、4100万円なら絶対買わない、という人はあまりいません。

★100万円は大きな金額のはずなのですが、「4000万」のような大きな数字が先についていると、心理的なモノサシが狂って、その数字があまり気にならなくなってしまうから不思議なものです。

★その他、1000円の商品が70%引きの300円で買えたら多くの人はお買い得感を感じますが、101万円の商品が100万円で買えても、お買い得感は感じません。実際には700円の得よりも、1万円の得のほうが価値が高いはずなのですが、人はその価値を正確に理解することはなかなか難しいようです。

★このように、心理的なモノサシは結構いい加減なものだといえます。

★でも、人はこの「心理的なモノサシ」をつかって判断しているわけですから、商売をしている人は値段を決めるときに、この「心理的モノサシ」のことを理解している必要があります。
 
★知っていると、相手がどのようなときにお得感を感じるのか、逆に、どんなときに不満足感を感じるかを知ることが出来るようになる心理的モノサシの性質をよく理解しておけば、役に立つかもしれません。
 
 
 
★・・・といった具合に、人間には言われば確かにそうなのだけれど、言われてみないと気がつかない心理な性質をたくさん持っています。そして、これらを知っていることが、商品の値段をつけをするときに重要な意味を持ってくることが少なくありません。
 
★まだまだ他にもたくさんある「値段の心理学」をもう一度見直してみることが、実は思っている以上に重要であると言えるかもしれません。