2004年 May月 28日

行政ミスで中国籍半世紀、女性が国家賠償を提訴

カテゴリ: 社会 / 0 コメント

 終戦直後、日本人の母親が中国人と結婚した際、行政の手続きミスで、本来は日本人なのに中国国籍となってしまった神戸市在住の女性(71)とその長男の会社員(44)が28日、国を相手取り慰謝料など計1600万円の国家賠償を求める訴えを神戸地裁に起こした。

 3年前、長男が帰化申請をした時、法務局職員が誤りに気付き、日本国籍は回復されたが、女性は「55年間も、中国人と信じ込まされて不便な生活を強いられたのに、謝罪さえない」と、〈祖国〉を被告に提訴に踏み切った。

 訴えによると、女性は日本人同士の男女の間に生まれ、母親が1946年8月に中国人男性と結婚。日本の国籍法では、他の国籍を取得しない限り、日本国籍を失うことはない。また、当時の中国の法律では、中国人と外国人が結婚した場合、女性の母親である「配偶者」は中国国籍となるが、血のつながっていない「子ども」であるこの女性は中国国籍を取得できないことから日本国籍は失わないはずだった。

 ところが、母親の婚姻届を受け付けた東京都葛飾区のミスで、母親だけでなく女性の戸籍も除籍された。女性は、中国人として国内で暮らし、長男も中国国籍となり、98年に永住許可を得るまで、在留許可を更新してきた。

 母子は帰化を望み59年以降、約10回にわたり、神戸地方法務局に申請したが受理されなかった。しかし2001年6月、同法務局で帰化申請の手続きを行った際、職員が戸籍謄本を見て誤りに気づいた。

 2人は5か月後、東京家裁に戸籍訂正許可を申し立て、2002年6月、女性は半世紀ぶりに日本国籍が回復、長男も取得した。

 長男は「日本国籍があったと知った時、怒りとむなしさがこみ上げた。何の落ち度もないのに外国人にされ、何度も帰化申請したのに気付きもしなかった。日本人として、国の過ちを明らかにしたい」と話す。

 法務省は「訴状を見ておらずコメントできない。内容を確認して適正に対処したい」としている。

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