人は知っているものに価値を見出しやすい -2




理由は至って簡単である。人は「自分の知っているものには価値を見出しやすく、自分が知らないものは、たとえどんなに価値のあるもの(客観的に見て)だとしても、価値を見出しにくい」から、反応がないのである。


これはコレクターの心理などを見ればよくわかるだろう。


世の中には、コインを集めている人、切手を集めている人、美少女フィギュアをひたすら集めている人、などといった具合に様々な人がいる。本人にとっては、そのグッズは、命の次に(場合によっては命より)、大事にしているものだ。でも、大抵の場合、周りの人にとってはいったいなんでそんなに大事そうにしているのかはわからなかったりする。


「19XX年のレアジーンズ!?」とジーンズのコレクターが驚くような品も、ジーンズに興味のない人にとっては「単なるズボンだろ」という反応だったりするし、「シャネルの○×!」と女性が奇声を上げそうな高級品も、ブランド物に興味のない人にとっては、何が良いのだかわからないものだ。


本人(その価値を知っている人)にとっては凄いものも、それを知らないひとにとっては全く何の価値もないわけだ。人は「自分が知っているもの・興味のあるモノには価値を見出しやすく、知らないもの・興味のないものは、全く無価値だと評価し勝ち」だおいう性質を持っているのである。


 
こういった性質を人が持っていることを知らない人は、結構、地獄を見ることになることが少なくないようだ。「興味のない人」に一生懸命、自分が扱っている商品の良さや性能を力説している人をたまに見かけたりするが、そもそも興味のない人にはこういった性能などの説明をしても意味がない。まずは興味を持ってもらうことなどに力を注いだ方が良い。


逆に、こういった性質をよく知っている人は、興味のない人にひたすら売り込んだりすることはない。それよりも、最初からそこに価値を見出している人、興味を持っている人を見つけ出して話をした方が、スムーズに物事が進んでいくことを知っているからだ。


年配の人たちに携帯電話の使い方を教えようとしてもなかなか覚えなかったが、「お孫さんといつでも会話できるようになりますよ!」といって興味を持ってもらった後に講義をしたら、あっという間に覚えてしまったという話もある。


性能は高いのだけれど、説明するのは難しい機械を売りにいったら、たまたま相手の人もその機械のことを知っていたために、その価値が認められ、あっというまに商談がまとまってしまった、という話もある。

「あんな会社、名前聞いたこともないし近づかない方がいい。」と知りもしない会社のことをボロクソにいっていたら、実は親しい知り合いが勤めていることがわかり、そのことを知った瞬間、「そこまでいうほどもひどくもなかった」などと宗旨替えをしてしまう、なんてこともよくある。


 
「人は自分が知っているもの・興味のあるものには価値を見出しやすく、自分が知らないもの・興味のないものは、たとえそれが客観的に見てどんなに価値のあるものだとしても、価値を見出しにくい。」わけだ。


この性質、言われてみれば当たり前だけど、意外と見落としがちな性質だ。知っている人は、「いかに知ってもらうか」「いかに興味を持ってもらうか」、または「そもそも知っている人・興味のある人だけを集めること」に力を入れているが、知らない人は、無駄なことに力を入れがち。


なので、今一度、よく覚えておき、利用してみるのが良いかもしれません。

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(C) 2009 ビジネスマスターへの道